福岡市早良区S邸
2017年もあと四日と差し迫ってきました。
師も走る忙しさの師走。
例外なく私の師も走り回ってます笑
そんな師走、皆様いかがお過ごしでしょうか?
家の大掃除は恒例でしょうが庭はどうですか?
私ども庭道楽では毎年年末の剪定に伺わせていただいたお客様だけでなく、通年可愛がってくださったお客様宅の庭の大掃除だけにも伺わせていただいております。
本日お邪魔させていただきましたのは福岡市早良区にありますS様邸
S様は登山が好きで道の駅などで山野草を買ってきては庭で育ててご自分で庭を楽しまれている素敵な方です。庭にはアオダモ、モミジ、ガマズミにヒメシャラ、イジュにユスラウメ、ミツバツツジと雑木が大好きで育った環境の景色を庭で再現したいと庭暮らしを満喫されています。山野草やシャガやアガパンサス、の落ち葉が絡みやすい下草が多い庭ですので掃除の際は手で丁寧に落ち葉をとってやります。
そうでなくとも、もともと不器用なのと、丁稚時代親方が手袋をしない人だったので私は普段からあまり手袋をしないのですが、丁寧に掃除する場合、素手に勝るものはないのではないかと思います。
庭には、苔やグランドカバーの下草、落ち葉の絡みやすい山野草と足元だけでもいろんな種類の植物が植わっています。また多年草や球根(この時期でしたらチューリップやヒヤシンスが多いです)など顔を出していなくても地中では春に向けて眠っている植物もたくさんいます。
そんな中、箒でザッザと掃いてしまったらさあ大変。
箒の先にはきっと大量の山野草が絡まっているはずです。
そこに絡まっている山野草はせっかく根を張ろうと精一杯頑張ってた矢先でしょうにかわいそう。
植物は大地に根を張ったり寄生したり表土に歩くように軽く根を伸ばしたりといろんな方法で栄養を吸収しようとします。
人間と真逆だと考えてください。
人間は口から栄養を摂取して下へ排出します。
植物は根から栄養を摂取して上へ排出します。
本当に人間と真逆の言わば私たちが頭で思い描くモンスターのような構造なのです。
話は多少逸れましたが、そんな植物の頭を箒で掃いてしまうと葉や実が引っかかって根が切れてしまうのです。
ですが手を熊手のような形にして掻いてやると下草等に絡んでた落ち葉がスーと取れるのです。
それでも取れない絡んでる落ち葉は摘んでとってやります。
ギボウシやホトトギス、アマドコロにホタルブクロなどの越冬準備にかかった多年草の上部や花が終わったツワブキの花殼を綺麗に切ったり草を引いたり散らばった砂利やずれた石を戻したりと、庭の大掃除は結構細かい作業が多いのです。
ですので私のような不器用人間には素手に勝るものはないのです。
しかし庭、ですので素手で仕事してるとナメクジを潰してしまったり猫のうんこを摘んでしまったり。その上柔らかかったりして勢いよく爪の間に入ってしまったりすると最悪です笑
洗っても洗っても取れない。
そんなこんなをしてても終わらないから「まあいいや」と仕事をしていると休憩時間にみかんを出していただいたことがあったのですが…
「いただきまーす」と皮をむいて勢いよくパクッと口に入れたとこで思い出しまして…
そうですよね…
さっき私何かつまみましたよね…
と思って手を見てみると手が黄色い…
これは奴のせいなのかみかんの色で黄身がかったのかどっちだろう…
うーん…
ま、いっか。
だって植木屋だもん。
なんてことも時々あるのですが、それでもやっぱり素手はやめられない。
ちなみに剪定するときも私は細かい枝をハサミで切るより、折ることの方が多いですので手袋をしていてはやりにくくて仕方ありません。
さすがに真冬の寒い時は自分で自分がアホらしくなって手袋しますけどね笑
おかげで手はいつもボロボロ。
今日はこんな感じです。
「目は口ほどにものを言う」と言いますが、手は口以上にものを言うのではないのだろうか。
もちろん手が全てではないと思いますが、例えば指輪。
私が丁稚時代親方が
「例えば石で手を挟んだ時、手は弾力があるので変形することはないが、もしその時指輪をしていたらどうなる?指輪が変形して指のうっ血を招いて対処が遅ければ指を切断。なんてこともありえなくはないから俺は指輪はしない」
とおっしゃていたことが頭から離れずずっと指輪をしませんし、
時計もそうですが、していたら樹木に腕を突っ込んで細かい枝を抜くのに引っかかって邪魔になって仕方がないのです。
ですので庭師と呼ばれる人たちは何もつけていないことが多いです。
その上、トゲが刺さったり石で擦れたり切ったりなんやでボロボロもいいとこなんですが、私がかっこいいと思う素敵な庭師さんはみんなゴツゴツしたかっこいい手をしているのです。
そんな手に憧れて私も日々精進しています。
皆様方の庭園を管理されてる庭師さんの手はどんなんですか?
よかったら今度来られた時、コソッと覗き見して見てください笑
きっと素敵な手をしているはずです。
「綺麗になった」
と非常に喜んでくださり
「s様今年も一年可愛がってくださりありがとうございました。
来年もよろしくお願い致します。
良いお年をお迎えくださいませ」
と笑顔でs様邸を後にできたことでまた幸せ感じることができました。
植木屋って本当にいい仕事だな〜
みなさま2017年もあとわずかです。
気を引き締めて素晴らしい2018年の幕開けを迎えてくださいませ。